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会社員が個人事業主になるメリットは節税
個人事業主になる一番のメリットは青色申告が可能になることです。
青色申告には下記のメリットが存在します。
- ・最大65万円の特別控除を受けられる(e-Taxの利用や複式簿記などの条件あり)
- ・赤字を繰り越せる(最長3年)
- ・家族への給与を経費にできる(条件があり届出が必要)
- ・貸倒引当金を経費にできる
- ・30万円未満の資産を一括で経費計上できる
非常に大きなメリットが得られる青色申告をするには、所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すればよく、手数料も不要です。
会社員が個人事業主になるデメリット
一番のデメリットは、帳簿をつける手間が増えることです。
しかし、年間数万円の費用で使える会計ソフト(freee確定申告やMFクラウド確定申告、やよいの青色申告オンライン)を使えば簡単に複式簿記による記帳ができます。
個人事業主になってもならなくても、事業(副業)の収支を簿記に記載し保管しておく必要があること、複式簿記により経営状態が明確になりますので、メリットにもなりえます。
また、2023年にインボイス制度が始まることを考えても、会計処理はしっかりとしておくようにしましょう。
サラリーマンが個人事業主になる方法
サラリーマンが個人事業主になるのは、とても簡単です。
所轄の税務署、県税事務所に事業開始届けを提出するだけで、個人事業主になることができます。
青色申告の申請も同時に行うようにしましょう。
税務署に提出する書式はインターネットからダウンロードできます。都道府県税事務所に提出する書式もインターネットからダウンロードできる場合が多いです。
さほど記入は難しくありませんので、その場で記入し提出する方法もあります。
なお、コロナ禍などの影響で変更になる可能性がありますので、念のため確認してから行くことをおすすめします。
ちなみに個人事業主を辞める場合も税務署と都道府県の税事務所に書類を出すだけです。
確定申告の変わるポイント
会社員が副業で収益をあげたときは、確定申告書の「雑所得」に入れますが、個人事業主になると確定申告の「事業所得」に入れることになります。
少し難しく感じてしまうかもしれませんが、先ほどご案内した会計ソフトを使えば、本業からの収入や医療費控除の入力もできますので、簡単に青色申告書、確定申告書を作成できます。
帳簿類は印刷して保管しておこう
雑所得での申告でも青色申告(事業取得)でも、レシートや帳簿類はしっかりと保管しておくようにしましょう。
総勘定元帳などは7年、請求書や見積書、レシートは5年保管することが必要です。
なお、電子帳簿等保存の適応を受けていなければ、印刷して保存しておく必要があります。
注)2022年1月に電子帳簿保存法の改正が予定されています。電子保存のための要件が緩和される予定です。
サラリーマンと自営業を兼業するときのポイント
会社員として働きながら、自営業をする場合のポイントとして、下記の点があげられます。
- ・お金を自営業、会社員、プライベートと3つにしっかりと分ける
- ・銀行の口座やクレジットカードもきっちりと分ける
最も大切なのはお金の管理です。
銀行口座やお財布を分けておかないと、どのくらいの収益が上がっているのか分かりにくくなる、簿記の付け方が面倒になるなどのデメリットが発生してしまいます。
具体的にいうと、会社からの給与振り込みに使っている銀行口座を自営業としても使ってしまうと、とても面倒なことになるのです。
ネットショップやサロンなどB to Cなら、屋号付き口座がおすすめ
ネットショップやサロンなど、多くのお客様からお振込みいただくことが多いのなら、屋号+個人名となる屋号付き口座を開設することをおすすめします。
お客様がお振込みをする際、個人名のみの口座では不安を与えてしまうことがあるからです。
なお、屋号付き口座を作成できない金融機関もありますし、口座開設にあたって開業届などの書類が必要になりますので、詳しくは各金融機関にお問い合わせください。
屋号付き口座を開設できる大手銀行
- ・ゆうちょ銀行
- ・三菱UFJ銀行
- ・みずほ銀行
- ・三井住友銀行
- ・PayPay銀行
- ・楽天銀行
社会保険(年金や健康保険)はどうなる?
個人事業主であれば国民年金に加入し国民健康保険となりますが、会社員として既に厚生年金や会社の健康保険に加入しています。
会社員をしながら個人事業主になると、年金などの社会保険を追加で支払わないとならないと思われるかもしれませんが違います。
厚生年金は国民年金(基礎年金)+厚生年金保険の組み合わせになっていますので、国民年金分を追加で支払う必要はないからです。
今までと同じように会社員として厚生年金に加入していれば、問題ありません。
また、健康保険もダブルで加入する必要はありませんので、会社の健康保険を継続することになります。
個人事業主から会社設立の道も
副業での事業が上手くいくと、会社を設立(法人成り)した方が節税になるケースも出てきます。
どのくらいの利益があるときに、個人事業主から会社にした方が良いかはケースバイケースでの判断となりますが、年間500~700万円の利益が目安とされています。
副業で数百万円の利益を出すにはかなり大変ですが、サラリーマンをしながら会社を設立するというのも不可能ではないのです。
なお、会社を設立するには、登記など様々な手続きが必要で数万円~数十万円の費用がかかります。
サラリーマンで個人事業主は最強の組み合わせ
本業と副業を両立できるのであれば、サラリーマンで個人事業主は最強の組み合わせといってもよいでしょう。
将来、会社を辞めたとしても、個人事業主としての事業は継続できますから年金対策も可能です。
また、副業に失敗したとしても、本業がありますから生活に困窮するということもありません。
低リスクでチャレンジできますので、サラリーマンをしながら自営業(個人事業主)をしてみてはいかがでしょうか。